私のスタートライン|麹士・国際中医薬膳師 和田友美さん
私のスタートライン
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私のスタートライン|麹士・国際中医薬膳師 和田友美さん
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東濃地域で「私らしく」活躍する方に焦点を当て、毎日を全力で楽しむ「秘訣」をご紹介するインタビュー記事「私のスタートライン」
今回お話を伺ったのは、岐阜県恵那市にて麹士、国際中医薬膳師として活躍される和田友美さん。
麹士として、国際中医薬膳師として、ときには料理教室やセミナーの講師として…。さまざまな角度から、麹の魅力や、身をもって体験されたからこそ わかる”食の大切さ”を伝えてみえます。
そんな友美さんと発酵食との出会い、そして”食”だけにとどまらない麹や酵素の果てしない可能性…など、奥が深くて、ちょっぴり自分のカラダにやさしくしたくなるような素敵なお話、伺ってきました。
目次
ちいさな生命の 果てしない可能性に魅せられて… 和田友美さん
みなぎるパワーの理由を知りたい!
――発酵食に興味を持たれたきっかけはなんですか?
もう10年くらい前になると思うのですが、ちょっと体調を崩すことがあって…。そのとき、瑞浪市にある発酵食料理を提供してみえる喫茶店でランチをいただいたのがきっかけです。
あれは今思い出しても、本当に衝撃的な出会いでした。いただいたときのパワーが全然違うんです。
オシャレなカフェのランチみたいな見た目の華やかさはないけれど、いただいたら自分のなかに染みていくというか…カラダのなかからパワーが湧いてくるような感じ。
“これはなんでなんだろう?”と気になって、オーナーさんといろいろお話しさせていただくようになり、オーナーさんが主宰されている発酵食料理の教室へも通うようになりました。そのなかで、麹を使った発酵食の調味料についても教えていらっしゃって“発酵食料理もすごいけど、それを作り出している麹ってなんだろう?”というところから、麹にはまっていったという感じです。
私がここへたどり着いたというか…麹の魅力に気付かせてくださったオーナーさんは私にとって大師匠です。
知りたいのはメカニズムから
――麹料理ではなく麹から作ろうと思われたのはどうしてですか?
“なんでこうなるんだろう?”を突き詰めたいと思ったときに、自分のなかで“もうこれは自分で作ろう!”と思いました。
文献や地元の歴史をまとめた書物などを読んでいくと、地域的に麹を使った文化があったり、今では数軒になってしまいましたが、過去にはあちこちに麹屋さんがあったことがわかって“私にもできるんじゃないか?”と麹作りを始めたのですが、いざ始めてみると、やっぱり壁にぶつかることも多くて、いろんな方に教えていただきました。

ただ、私は作り方だけじゃなく“なんでこうなるのか?”とか“なんで麹がこうやってはたらくのか?”など麹のメカニズムの部分から知りたかったので、そこから学べるところを探しました。福岡県の博多…と、遠方ではありましたが、ちょっと勉強しようと思って修行へ。麹や調味料を作る技術指導の合間に座学、最後にはちょっとした小論文を提出して資格もいただいてきました。
――麹の魅力ってどんなところですか?
麹のチカラで肉をやわらかくしたり、発酵調味料に旨味成分が多いことはよく知られていますが、麹料理って、ひと手間かけないと…と思われがち。でもじつは普段の料理を仕込むよりラクにできるんです。時短にもなるし、主婦の強い味方じゃないかなって思っています。

その土地で、その季節にとれるものを…
――店名の由来はなんですか?
笠置町では“笠置山”のことを“みかさぎ”といいます。地域の新聞や特産である柚子の組合にも“みかさぎ”と名付けるくらい、笠置山に親しみと恩恵を感じているのだと思います。
わが家も水田があって笠置山から流れた水で米作りをし、その米で麹を作っています。

そういった意味で“笠置山の恩恵を受けた麹屋”で“みかさぎ麹屋”としました。

――麹作りで気をつけていることってどんなことですか?
麹は菌を繁殖させて作るものなので、雑菌が入り込まないようにとても神経を使います。例えば納豆菌はとても強いので、麹を作る3日前からは納豆を食べないようにしています。
それに同じ麹菌を使うものばかりではないので、米麹・麦麹・黒麹、それぞれの製麹のために、別の室を作りました。

麹を作るのには、米を洗うところから完成まで5日ほどかかります。そのなかの2晩は、ほとんど徹夜状態。赤ちゃんの授乳じゃないですが、2時間おきに様子を見て、温度や湿度を調整します。

こればかりは、もう作って経験を重ねていくしかないので、失敗も数えきれないくらい経験しましたし、まだまだ学ぶことばかりです。
じつは私、めちゃくちゃ めんどくさがりなんです。でも麹作りに関しては、手を抜きたくないというか…。自分で納得のいくものを作りたいといつも思っています。

開業して3年…。なんとか一人で頑張ってきましたが、昨年から妹が加わってくれることになりました。
お互いに無いものを持っているからフォローし合えてとても心強いですし、妹には感謝の気持ちでいっぱいです。
――麹って米以外のものからも作れるのですか?
穀物類ならなんでもできます。ただ、麹菌との相性や向き不向きはあります。
米で言うと、わりと甘みも水分も少ない品種の方が向いています。この地域で主に作られているコシヒカリは、どちらかと言えば不向きです。でも、あえて自家製米であるコシヒカリにこだわったのは“その土地で生まれた人たちがその土地で育ったものを食べるのは、その人のカラダに良くあるから”という“身土不二”の考え方を知ったからです。


今でも作りにくいし、何回も失敗しながら作っていますが、やっぱり土地に根付いたコシヒカリで作りたいって思っています。


――旬や地産地消って、カラダのためには大切なことなのですね?
もちろんそうです。夏に実るキュウリやトマト、ナスには体熱を冷ます効能があるし、冬に収穫できる生姜やかぶには、カラダをあたためる効能があります。


昔はおばあちゃんとこへ行って野菜を摘んでくるとか、野菜や果物が実っている状態を目にすることも多かったから、自然と季節の食材って体感で知ることができた気がします。


でも今は、お店で買う方が多くなったから、どんな状態で実っているのか知らない方も多いみたいですね。お店へ行けば季節関係なく手に入るし、寒い時期でも彩りとしてトマトを添えたくなるのもわかるんです。ただ、そればかりじゃなくて、旬の野菜で彩りを添えるとか、例えばトマトだったらパスタのソースにするみたいにグツグツ煮込んだら効能がおだやかになることもあるので、調理法を変えてみるのも選択肢のなかに加えてもらうといいかなって思います。
私は“食と思い出”はつながっている気がしていて。例えば昔ながらの定食屋さんへ行ったとき、すごく黄色い大根の漬物とかが添えてあると“昔よく食べてたな…”って、なんだかとてもほっこりした気持ちになります。添加物が気になるな…と思うより先に“これ!これ!”みたいな…。そういう気持ちって大事だなって思います。
いい加減なことは言いたくない
――薬膳についても勉強されたんですね?
忙しいと自分のためだけに料理しようなんて気にもなれないから、食事をおろそかにしがちで、インスタント食品に頼ることも多かったのですが、発酵食と出会って、食に対する考え方ががらりと変わりました。

カラダは食べるものによってできているから、なにを取り入れるのかはとても大事なんだと気づいたとき“もっとルーツを探りたい!”って思ったんです。

今は情報もあふれていて、食に関してもいろいろな考え方があります。でも昔の人は科学的に調べたわけでもないのに、お刺身の薬味には毒消しの効果があるワサビを使っていたり…と薬膳の知識が生活に根付いていて、それは今も変わらず続いています。
ただ“なぜそれが良いのか“を考えることのないまま いただいている方がほとんど。私はその”なぜ?“の部分から解明したくて、薬膳を学ぶことにしました。

中国伝統医学に基づいた食べ方や、すべての食べ物には効能がある…など、学んでいけばいくほど、奥が深くておもしろいんです。

自分が発酵食料理をいただいて、みなぎるようなパワーを感じた衝撃を皆さんにもお伝えして、元気になってもらいたい…。

もちろん資格がなくてもできることはたくさんあります。でもカラダのことだから、いい加減なことは言いたくないし、言ってはいけないと思うから、学ぶことはたくさんあります。今もまだまだ勉強中です。
麹の可能性は無限大
――今後やっていきたいことはどんなことですか?
“食”に関わることでは、毎日は難しいですが、月に何回か発酵調味料を使った薬膳のランチを提供できるようなスペースをつくれたらいいなって思っています。


それとあわせて“食”にとどまらない麹の可能性も深めていきたいです。
麹のなかに含まれている酵素のはたらきで、味噌や醤油などの旨味ができていることはよく知られていますが、じつはそのチカラ、食べ物以外にも活用されているんです。例えば洗濯石鹸や歯磨き粉に“酵素パワー”って書いてあるの見かけられることがあると思うのですが、あれも麹の酵素が基になっていると言われています。そういった生活に根付いたところでの活躍にフォーカスして、身近で使えるようなものを研究していきたいなと思っています。
その第一段階として、まずは麹石鹸を商品化しました。

石鹼って毎日使うものだから、原料にはこだわりたくて、米麹と草の根エキスを配合した肌と環境にやさしい無添加の石鹸を…と試行錯誤。完成まで数年かかりましたが、納得のいく石鹸ができたと思っています。

髪の毛もカラダも全身洗えるので、めんどくさがりな私にもぴったりなんです。
取材後記
学ぶということに、とてもストイックな友美さん。ご自身の信念や、しっかりとした軸を持たれていて、職人魂のようなものを感じました。
真っ直ぐなだけでなく、とてもユーモアがある友美さんとの会話は、楽しくて勉強になります。人との出会いやご縁をとても大切にされているのも素敵だなと感じました。
そして、みかさぎ麹屋さんの店舗には、麹調味料はもちろん、その季節でないと出会えない商品や麹石鹼、地元高校生とコラボした塩麹を使用したアイスクリームなど気になるものばかり。

料理への活用方法などのアドバイスもいただけるので、残さず使いきれそうです。
“食”にとどまらない麹の可能性や薬膳ランチをいただける飲食スペースなど、これからのご活躍も楽しみですね。
INFORMATION
店名:
みかさぎ麴屋
住所:
岐阜県恵那市大井町2714-14
電話番号:
0573-59-9325
営業時間:
9:30~17:30
定休日:
月曜日・火曜日・日曜日・祝日
※記事内の情報は記事執筆時点のものです。正確な情報とは異なる可能性がございますので、最新の情報は直接店舗にお問い合わせください。






